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二つの命が訴える、プロボクシングの未来への課題

  • 執筆者の写真: Toshihiro Yamanaka
    Toshihiro Yamanaka
  • 2025年8月11日
  • 読了時間: 2分

2025年8月、東京・後楽園ホールで同じ興行中に、二人のプロボクサーが相次いでリングに倒れました。

神足茂利選手、浦川大将選手――両者とも急性硬膜下血腫により、試合後間もなく帰らぬ人となりました。

この二つの命を悼み、ご冥福をお祈りするとともに、私たちはこの悲劇を「避けられない事故」として片付けることはできません。


日本のプロボクシングは、JBC(日本ボクシングコミッション)の管轄のもとで安全管理が行われています。

しかし、今回の事故は現行の安全対策が限界に達していることを示しています。

このままでは、競技自体の存続が危ぶまれる――その危機感を、関係者全員が共有すべき時です。


1. 減量管理の徹底

過度な減量は、脳の浮力低下や血管の脆弱化を招き、致命的な頭部外傷リスクを高めます。これを防ぐためには、国際的に導入されている以下の方法を組み合わせるべきです。

  1. 尿比重値の測定(ONE Championship方式) 計量前に尿比重値を測定し、脱水状態での計量を禁止する。

  2. 試合当日の再計量(IBF方式) 試合当日も計量を行い、前日計量からの過度な体重増加を制限する。

この二段階チェックにより、安全な減量とコンディション維持を両立させることが可能になります。


2. すべての階級でのオープンスコア制

オープンスコアは、途中経過を両選手と陣営に公開する制度です。

これにより、不必要な打ち合いや「最後まで勝敗が分からないからこそ無理をする」状況を減らし、被弾の蓄積を防ぎます。


3. スーパーバイザーを「サブレフリー」に

安全を守るための意思決定は、レフリー一人に委ねられるべきではありません。

スーパーバイザーが実質的なサブレフリーとして、レフリー・リングドクターと三者合議で試合続行の可否を判断する体制を整えるべきです。

これにより、判断の遅れや見落としを防ぐことができます。


未来に向けて

今回の事故は、偶然ではなく、構造的なリスクの顕在化です。

二つの命を無駄にしないために、減量管理の強化、情報の透明化、試合中の多角的安全判断を一刻も早く制度化する必要があります。

プロボクシングが「命を懸ける価値のあるスポーツ」であり続けるために、今こそ変革の時です。


Boxing & Fitness B-BOXER 山中敏弘


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