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プロボクシングの「希望」と「課題」重岡銀次郎選手の一日も早い    回復を願って

  • 執筆者の写真: Toshihiro Yamanaka
    Toshihiro Yamanaka
  • 6月3日
  • 読了時間: 3分

このたび、将来を嘱望された重岡銀次郎選手が試合中に大きなダメージを負い、心から回復を祈らずにはいられません。

ボクシングは世界中で愛されるワールドスポーツであり、極上のエンターテインメントでもあります。

その一方で、極限まで鍛え抜かれた肉体同士がぶつかり合う「残酷」な現実も、否応なくつきまといます。


ボクシングの歴史を振り返ると、試合中の重大事故や選手生命を絶たれるようなアクシデントが後を絶ちません。

日本ボクシングコミッション(JBC)の公式発表によれば、2000年以降、日本国内のプロボクシング試合で重篤な事故(脳出血等)により引退・重度後遺症に至った例は10件以上報告されています。

海外に目を向ければ、IBFやWBCなど主要団体も、計量の厳格化リングドクターの常駐強化試合直後の医療体制強化を進めています。


私が印象深く覚えている言葉があります。

畑山隆則選手が坂本博之選手との試合前に語った「彼はパンチが強い、僕は弱い、彼は顎が強い、僕は弱い、だから僕が勝つんです。」

この名言には、**「勝つために最も大切なのはディフェンス(防御力)である」**という、ボクシングの本質が詰まっています。


どんなに攻撃力があっても、防御が疎かになれば選手生命どころか人生さえ脅かされてしまうのです。

今回の重岡選手の事故も、判定がスプリット・ディシジョン(2-1判定)であったことが示すように、非常に拮抗した難しい内容でした。

審判・コミッショナー・プロモーター・承認団体には、「より一層の安全対策の徹底」を望みます。


たとえば、

  • IBFの当日計量ルール(試合当日の再計量で増量幅を制限)

  • WBCのオープンスコア制度(途中経過の得点公開による陣営の判断材料化)など

  • ルールや制度の見直しと現場での柔軟な運用が、今後さらに重要になるでしょう。


「事故ゼロ」は難しいかもしれませんが、事故発生率の低減は必ず現場努力で達成できます。

たとえば日本国内での重大事故率は、年間延べ試合数約700試合(プロ・アマ合計)に対し、過去10年で重度後遺症を伴う事故発生率は約0.01%と推計されます(JBC、主要メディア調査より)。

しかし、その「0.01%」を限りなくゼロに近づける努力こそ、ボクシング界の使命であり責任です。


最後に──重岡銀次郎選手のご回復を心よりお祈りするとともに、ボクシング界全体が「安全」と「公正」を追求し続けることを強く願います。


ボクシングの素晴らしさと厳しさ、その両面に向き合い、これからも多くの人に希望を届けるスポーツであってほしいと願っています。



 
 
 

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