逆転劇を望むべきではない! レフェリーストップの本質を考える
- Toshihiro Yamanaka
- 2 日前
- 読了時間: 3分
ボクシングという競技は、「試合」ではありますが、「ゲーム」ではありません。
野球やサッカーには、最後のワンプレーで劇的な逆転が起こるという、“ゲームならではの醍醐味”があります。
けれどもボクシングは、match=闘争であり、命を懸けた真剣勝負です。
最後まで逆転を期待して観戦することは、選手にとってあまりに危険だと言えるでしょう。
2024年5月6日に行われた井上尚弥選手とラモン・カルデナス選手の一戦、8ラウンド45秒のレフェリーストップは、明確に勝負が決した瞬間でした。
井上選手の連打に対し、カルデナス選手は防御不能、反撃もできず、完全に追い込まれていました。
レフェリーは迷うことなくストップをかけ、非常に適切な判断だったと思います。
「もう少し見たかった」という声も一部にはありましたが、それは観客としての感情であり、選手の健康や命と引き換えにしてよいものではありません。
一方で、明らかに早すぎるストップと感じた試合もあります。
2021年5月8日、アメリカ・テキサス州で行われた高山勝成選手とエルウィン・ソト選手の試合では、9ラウンド2分44秒の時点でレフェリーが突然試合を止めました。
高山選手は被弾はしていたものの、反撃の姿勢を明確に見せており、止められる理由は見当たりませんでした。
レフェリーの判断は不自然で、会場からもブーイングが起こるほどでした。
しかし、もっとも残念だったのは、止めるべきなのに止められなかった試合です。
2023年12月26日、バンタム級モンスタートーナメント決勝で行われた堤聖也選手と穴口一輝選手の試合では、賞金1,000万円をかけた大一番ということもあり、両者ともに執念のこもった戦いを見せてくれました。
挑戦者の穴口選手は試合を通じて主導権を握っていた場面もありましたが、堤選手は9ラウンドまでに3度のダウンを奪っていました。
採点方式から見て、3回のダウンで穴口選手は合計6ポイントを失っていたと考えられます。
堤選手も善戦を許したとはいえ、最終10ラウンドでさらに1度ダウンを奪ったことで、勝負は明らかに決していました。
この時点で、誰かが試合を止めるべきだったと思います。
レフェリーでも、セコンドでも。
しかし誰も止めず、穴口選手は試合後に倒れ、帰らぬ人となってしまいました。
どれほど勇敢であっても、その命は二度と戻りません。
たとえ称賛の声が寄せられ、美談として語られたとしても、現実は変わらないのです。
ボクシングは、身体を傷つける闘争です。
選手の勇気を尊重するからこそ、リング上で命を守る判断をする勇気が、レフェリーやセコンドには求められます。
勝負が決したならば、即座に試合を止めるべきです。
ボクシングに“奇跡の逆転劇”を求めるべきではありません
。勝敗よりも、命のほうがはるかに大切なのです。この基本を、私たちは忘れてはならないと思います。
Boxing & Fitness B-BOXER 山中敏弘
ボクシング&フィットネス B-BOXER
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相手にダメージを負わせる事を目的として戦う競技。しかも深刻なダメージであればあるほど◎
同じ格闘競技でも柔道や相撲などと違い実に特殊。
事故が起こる度に「これはいかん!何か対策を」…と思うが、それをやり過ぎるとおそらく集客や視聴が落ちて、興行として成り立たなくなるおそれがある。それじゃ競技として滅亡する。
厄介です。