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“山歩(さんぽ)”という贅沢

  • 執筆者の写真: Toshihiro Yamanaka
    Toshihiro Yamanaka
  • 5月16日
  • 読了時間: 2分

歩くことを思い出す時代


いま、“低山登山”が静かなブームを呼んでいます。

とはいえ、それは本格的な登山装備に身を包んで標高を競うようなものではありません。「山歩(さんぽ)」と呼ばれるこのスタイルは、自然の中をただ歩く──野山を歩き、街を歩き、道そのものを味わう、まさに“歩くこと”そのものの再発見です。


この流れは、一見すると新しいトレンドに思えるかもしれませんが、実は私たち日本人がもともと持っていた文化の再確認なのではないでしょうか。

江戸時代、人々は毎日何万歩も歩き、時には遠くの神社仏閣まで旅をしました。

宿場町が栄え、道中の風景を楽しむ「お伊勢参り」や「奥の細道」が、文化そのものだったのです。


やがて明治以降、西洋化とともに機械文明が進み、「歩くこと」は前時代的なものと見なされ、効率やスピードが優先されるようになりました。

しかし現代、テクノロジーがあらゆるものを便利にした結果、私たちは逆に不便の中にある豊かさに気づき始めているのかもしれません。


歩くという行為には、心と身体を整える力があります。

リズムよく歩くことで脳が活性化し、感情が整い、足元から健康が育まれます。

そして何より、歩くことで見えてくる景色があります。


日本は、世界に誇るほど美しい国です。

山林の緑、清らかな川の音、棚田を渡る風、まちの四季、路地の花──それらは車窓からは見えません。

歩いてこそ、感じられるのです。


現代人にとって、「山歩(さんぽ)」とは、ただの運動ではなく、日本人としての感性を取り戻す旅です。

テクノロジーに囲まれた日々の中で、あえて“自分の足で”進むことは、まさに人間らしさへの回帰。

そしてそれは、きっとこれからの時代を生きるためのヒントにもなるでしょう。


一歩一歩、風を感じながら。歩くことが、私たちをまた美しい日本へと導いてくれるのです。



 
 
 

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